線形代数 課題

線形代数:文字入り行列の完全攻略

先生、この行列の問題なんですけど……文字 \( a \) が入ってるだけで、もう何をしていいか分かりません。「被約階段行列」とか「正則行列 \( P \)」とか、言葉も難しくて。
その気持ち、すごくよく分かるよ。文字が入ると「計算できない!」って思っちゃうよね。でも大丈夫。やることは普通の数字の時と全く同じなんだ。

この問題のゴールは、「行列 \( A \) を掃除して綺麗にすること」。そして「その掃除に使った道具(行列 \( P \))を記録すること」だ。
掃除と道具……ですか?
そう。効率よく両方を求めるために、「行列 \( A \) の右側に、単位行列 \( I \) をくっつけた巨大な行列」を作って計算するのが一番の近道なんだ。まずは書いてみよう。

(1) 行基本変形と行列 P

こういう形を作るよ。左側が \( A \)、右側が単位行列 \( I \) だ。
$$ [A \mid I] = \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 1 & a & 1 & 0 & 0 \\ 1 & a & 1 & 0 & 1 & 0 \\ a & 1 & 1 & 0 & 0 & 1 \end{array} \right) $$
これを「階段行列」にするために、左下にある \( 1 \) と \( a \) を \( 0 \) にしていこう!
計算してみます!
2行目から1行目を引いて、3行目からは「1行目の \( a \) 倍」を引くんですね。
その通り。さらに計算を進めると、非常に重要な形が現れる。ここが最大のポイントだ。
$$ \xrightarrow{\text{変形}} \left( \begin{array}{ccc|ccc} 1 & 1 & a & 1 & 0 & 0 \\ 0 & a-1 & -(a-1) & -1 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & \mathbf{-(a+2)(a-1)} & -(a+1) & 1 & 1 \end{array} \right) $$
この右下の成分 \( -(a+2)(a-1) \) に注目しておいてね。
ここで、左側を単位行列にするために割り算をしたいけれど、文字式で割るときは「0か0じゃないか」で場合分けが必要になる。 もし \( a \neq 1, -2 \) ならば、最後まで変形して左側は単位行列 \( I \) になり、右側に残ったのが求めたい行列 \( P \) になるよ。

(2) 階数(ランク)の変化

ランクって何でしたっけ……?
ランク(階数)とは、階段行列に変形したときに、「完全に \( 0 \) だけで埋まっていない行の数」のことだよ。
さっきの対角成分が \( 0 \) になるかどうかで決まるんだ。
ランクの判定:
対角成分 \( a-1 \) や \( -(a+2)(a-1) \) が \( 0 \) になる瞬間に注目!
  • \( a = 1 \) のとき
    2行目も3行目も \( 0 \) になる。
    生き残るのは1行だけ。 → ランク = 1
  • \( a = -2 \) のとき
    3行目だけが \( 0 \) になる。
    生き残るのは2行。 → ランク = 2
  • それ以外(\( a \neq 1, -2 \))のとき
    全ての段が残る。 → ランク = 3

(3) 連立一次方程式の解

「ただひと組の解」「解なし」「不定(無数にある)」の条件ですね。これも苦手です……。
これもさっきの変形結果を使えば簡単だよ。右辺のベクトル \( \mathbf{b}=(1,1,1)^T \) も一緒に変形したと考えると、最後の方程式(3行目)はこうなる。
$$ 0x + 0y + \underbrace{-(a+2)(a-1)}_{\text{左辺の係数}} z = \underbrace{1-a}_{\text{右辺の数字}} $$
この式が成り立つかどうかを考えるんだ。

解答のまとめ

(i) ただひと組の解をもつ(ランクがフルの時)

\( z \) の係数が \( 0 \) でなければ、割り算して答えが出せる。

答え: \( a \neq 1 \) かつ \( a \neq -2 \)


(ii) 無数の解をもつ(不定:\( 0=0 \) の時)

左辺が \( 0 \) になり、かつ右辺 \( 1-a \) も \( 0 \) になるとき。

答え: \( a = 1 \)


(iii) 解をもたない(不能:\( 0=3 \) などの矛盾)

左辺は \( 0 \) なのに、右辺 \( 1-a \) が \( 0 \) じゃないとき(\( a=-2 \) のとき右辺は3になる)。

答え: \( a = -2 \)

本日のまとめ

  1. 拡大行列 \( [A \mid I] \) を作って、ひたすら行基本変形で階段を作る。
  2. 対角成分が \( 0 \) になる場所で、ランク(階数)が変わる。
  3. 最後の行の方程式 \( 0z = \dots \) の形を見て、解のありなしを判定する。

この流れさえ掴めば、このレポートは完ぺきだよ!まずは紙に書いて計算してみよう。

© Linear Algebra Lesson Helper

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